2020年6月

個人事業主の「所得税」について Vol.080

個人事業主にとって主な税金は「所得税」「消費税」「住民税」「個人事業税」です。「個人事業主が支払う税金について Vol.078」で簡単に説明しましたが、今回はその中でも最も重要な「所得税」についてもう少し詳しく説明していきます。

所得税とは

所得税とは、1月1日~12月31日の1年間に得た個人の所得に対して課せられる税金です。個人事業主の税金で最も大きな割合を占めます。
収入から経費や控除を引いた事業所得などを計算し、所得控除などを行った課税所得金額に応じて税金を支払います。会社員は会社が代わりに税額を計算し納付してくれますが、個人事業主の場合は自分で税額を計算して納めます。

所得の種類

所得税法では、10種類の所得に分かれています。
個人事業主は「事業所得」に該当し、会社員は「給与所得」に該当します。

  • 事業所得・・・売上から経費などを差し引いた利益
  • 配当所得・・・株の配当金など
  • 不動産所得・・・所有している不動産の家賃収入など
  • 給与所得・・・会社員やバイトなどの給料やボーナスなど
  • 山林所得・・・所有している山林を売った利益
  • 一時所得・・・賞金品など
  • 雑所得・・・印税や公的年金など
  • 譲渡所得・・・土地や株式などを譲渡した利益
  • 利子所得・・・銀行預金の利息など
  • 退職所得・・・退職金など

所得税の計算方法

収入 − 必要経費 − 各種控除 = 課税所得金額
課税所得金額 × 税率 − 控除額 − 税額控除額 = 所得税額

個人事業主の所得税は、上記のうような計算式で出します。課税所得金額に、それぞれ決められた税率をかけ、控除額と税額控除額を差し引いた額が「所得税額」となります。 下記では計算式の詳細を更に詳しく説明しています。

<必要経費>

仕入に掛かった費用、光熱費、家賃、交際費などが必要経費に当たります。事業内容によって必要経費は異なるので、専門家に相談すると良いでしょう。

<各種控除>

「個人事業主が受けられる税金の控除について Vol.079」で取り上げた所得控除などで、基礎控除、医療費控除、寄付金控除、社会保険料控除などです。各種控除には、所得控除や青色申告特別控除、白色申告の事業専従者控除が当てはまります。

該当する控除を差し引いたあとの金額が「課税所得」となります。

<納税額の計算>

「課税所得」が算出されたら、下記の「税率」を掛け「控除額」を差し引きます。

課税される所得金額税率控除額
195万円以下 5% 0円
195万円を超え 330万円以下 10% 97,500円
330万円を超え 695万円以下 20% 427,500円
695万円を超え 900万円以下 23% 636,000円
900万円を超え 1,800万円以下 33% 1,536,000円
1,800万円を超え 4,000万円以下 40% 2,796,000円
4,000万円超 45% 4,796,000円

<税額控除>

主な税額控除は、下記の通りです。

  • 住宅ローン控除・・・住宅を購入した場合
  • 配当控除・・・株などで配当を得た場合
  • 外国税額控除・・・外国で納付する所得税がある場合

税額控除額を差し引いた額が「所得税額」になります。これが申告納税額となるので、確定申告の提出最終日である3月15日までに税務署に納付します。

まとめ

確定申告をする人は、所得税額に加えて復興特別所得税も合わせて納付することになっています。
復興特別所得税とは、2037年まで実施される税金で東日本大震災の復興財源を確保するための税金です。

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個人事業主が受けられる税金の控除について Vol.079

税金の控除制度を活用できれば、納税の負担を軽くすることができます。受けられる控除は納税者の事情によって異なりますが、個人事業主が受けられる控除にはどんな種類があるのか、簡単に説明します。

控除の種類

控除とは、一定の金額を差し引くことです。 個人事業主が受けられる控除を下記にまとめました。

  • 基礎控除・・・誰でも無条件に、一律38万円の控除が受けられる。
  • 配偶者控除・・・配偶者の所得が38万円以下の場合、配偶者の年齢が70歳未満なら38万円、70歳以上なら48万円の控除が受けられる。
  • 配偶者特別控除・・・配偶者の所得が38万円を超える場合でも、配偶者の所得に応じて控除が受けられる。納税者の所得が1,000万円以上の場合は受けられません。
  • 扶養控除・・・配偶者以外に、扶養親族(年間所得38万円以下)がいる場合、扶養親族の年齢によって38万円~63万円の控除が受けられる。
  • 障害者控除・・・納税者および配偶者や家族、納税者と生計を同一にする者のいずれかが障害者である場合、障害の程度により一定金額の控除が受けられる。
  • 寡婦控除、寡夫控除・・・配偶者と死別、または離婚している場合、一定金額の控除が受けられる。一定の条件を満たす必要があり、寡婦控除は27万円か35万円、寡夫控除は27万円の控除。
  • 勤労学生控除・・・納税者が働きながら学校に通っている場合、勤労所得が65万円以下で、かつ勤労以外の所得が10万円以下であれば、27万円の控除が受けられる。
  • 社会保険料控除・・社会保険料または国民年金保険料と同額を社会保険料控除として、その年の掛金の控除が受けられる。
  • 小規模企業共済等掛金控除・・・小規模企業共済法で定められた共済の掛金、個人型年金の掛金などを支払った場合、その年の掛金の控除が受けられる。
  • 生命保険料控除・・・生命保険、介護医療保険料を支払った場合、一定の金額を所得金額から差し引くことができる。
  • 地震保険料控除・・・地震保険料や掛金を支払った場合、掛金の一定金額の控除が受けられ、最大5万円の控除が受けられる。
  • 雑損控除・・・災害や盗難などで損害を受けた場合、一定金額の控除が受けられる。
  • 医療費控除・・・納税者および配偶者や家族、生計を共にする者に支払った医療費に対し、一定金額の控除が受けられる。
  • 寄附金控除・・・国や地方公共団体に寄附金を支払った場合、一定金額の控除が受けられる。
  • 青色申告特別控除・・・青色申告を行っている場合、簡易簿記なら10万円、複式簿記なら65万円の控除が受けられる。
  • 事業主控除・・・個人事業主の場合、一律290万円の控除が受けられる。起業して1年に満たない場合、月割りで控除が受けられる。 

まとめ

税金の控除は確定申告の際に記載しないと適用を受けることはできません。所得税や住民税の金額にも影響するので、自分がどの控除を受けることができるのか把握すると良いでしょう。

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個人事業主が支払う税金について Vol.078

前回は法人が支払う税目について説明しましたが、今回は個人事業主が支払う税目について説明していきます。

個人事業主が支払う税金の種類

個人事業主が支払う主な税金は下記の4つになります。

  • 所得税・・・1年間の所得に対して課せられる税金
  • 消費税・・・前々年度の事業年度の売上が1,000万円を超えた場合に課せられる税金
  • 住民税・・・事務所を構えている地方自治体に納める税金
  • 個人事業税・・・事業内容に応じて課される税金

※その他、固定資産(土地、家屋など)を所有している場合は「固定資産税」がかかります。

<所得税>

個人事業主の税金で最も大きな割合を占めます。収入から経費や控除を引いた事業所得などを計算し、所得控除などを行った課税所得金額に応じて税金を支払います。

<消費税>

開業から2年間は消費税を納付する必要がありません。また、開業してから2年以上経っている場合でも前々年度の課税売上高が1,000万円未満の場合は納税の必要がありません。

<住民税>

所得に応じて課税される「道府県民税」と「市区町村民税」の2種類があります。

<個人事業税>

指定された事業者のみで(70種類の法定業種)、一定の税率で課税されます。これらの業種に該当しない場合は事業税を納める必要はありません。
事業主控除として年290万円の控除が認められるので、事業所得が年間290万円までの個人事業主は支払う必要がありません。

税金の納付時期と方法

<確定申告し自分で納税する>

  • 所得税・・・一定の所得がある人が対象で、2月16日~3月15日までに確定申告をして3月15日までに納付します。
  • 消費税・・・前々年度の消費税の対象となる売上が1,000万円を超えた場合で、所得税と同様に確定申告をして3月31日までに納付します。

<納付通知が来た場合納税する>

  • 住民税・・・一定の所得がある人が対象で、6月に地方自治体から納付通知が届きます。 一括納付か分割納付を選べます。
  • 個人事業税・・・指定された事業者のみで、 8月に都道府県税事務所から納付通知が届きます。8月と11月の2回に分けて納付します。

※消費税と個人事業税は課税の条件があるので、支払う必要のない場合があります。

まとめ

個人事業主が納める主な税金は、「所得税」「住民税」「事業税」「消費税」という事が分りました。「所得税」「消費税」は、税額を計算し申告して納税します。「事業税」「住民税」は、市区町村などから送付される通知書に従って納税します。
万が一、税金が支払えなくなった場合は「猶予制度」を利用できる可能性があります。猶予制度を利用する場合は、所轄の税務署に申請します。猶予を受けるには一定の条件を満たす必要がありますが、猶予期間中の1年間は、延滞税が軽減され必要に応じて分割で納税ができるようになります。

※現在、国税庁では新型コロナウイルス感染症の影響により、国税を一時に納付することが困難な方への猶予制度に関する質問や相談を専門に受け付けています。

・国税庁「新型コロナウイルス感染症の影響により納税が困難な方へ」

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法人が支払う税金について Vol.077

「税務申告について Vol.014」では、個人事業者と法人が申告しなければならない税目を比較しながら簡単に取り上げました。今回は、法人が支払う税目をもう少し詳しく説明していきます。

法人が支払う税金の種類

<法人所得に対して支払う税金>

  • 法人税・・・法人が得た利益に対してかかる税金
  • 法人事業税・・・法人が事業を行うにあたって利用している道路や港湾、消防、警察などのさまざまな公共サービスや公共施設について、その経費の一部を負担する目的の税金
  • 法人住民税・・・法人税額に住民税率を乗じた額
  • 地方法人特別税・・・地域間の税収の偏りを是正するためのもので、法人事業税の税率を引き下げたうえで新たに国税として設立された税金

<取引に対して支払う税金>

  • 消費税、地方消費税・・・預かった消費税から仕入等で負担した消費税を控除した額
  • 印紙税・・・経済取引で契約書や領収書などの文書を作成した課税文書に対してかかる税金
  • 登録免許税・・・土地や建物を購入などの所有権の登記手続で納める税金
  • 不動産取得税・・・土地や建物を購入した場合にかかる税金

※その他業種によって、宿泊税・輸入消費税・関税などの税金を支払う必要があります。

<保有している資産や事業所に対して支払う税金>

  • 固定資産税、償却資産税・・・固定資産税は土地と家屋に対して、償却資産税は土地・家屋・自動車を除く機械や装置等の償却資産に対してかかる税金
  • 自動車税、軽自動車税・・・保有している自動車に対してかかる税金
  • 事業所税・・・一定の規模を超えた事業を行っている事業主が支払う税金

税金の納付時期と期限

税金は、国に対して支払う「国税」と地方に対して支払う「地方税」に分かれています。それぞれ支払時期や納付方法など違いがあります。

<国税>

  • 法人税・・・事業年度の終了日の翌日~2ヶ月以内
  • 地方法人税・・・事業年度の終了日の翌日~2ヶ月以内
  • 消費税・・・事業年度の終了日の翌日~2ヶ月以内
  • 印紙税・・・契約時、または領収時
  • 登録免許税・・・不動産取得の登記時

<地方税>

  • 法人事業税・・・事業年度の終了日の翌日~2ヶ月以内
  • 法人住民税・・・事業年度の終了日の翌日~2ヶ月以内
  • 地方消費税・・・事業年度の終了日の翌日~2ヶ月以内
  • 事業所税・・・事業年度の終了日の翌日~2ヶ月以内
  • 不動産取得税・・・送付された納税通知書に記載された納付期限まで
  • 固定資産税・・・送付された納税通知書に記載された納付期限まで
  • 償却資産税・・・送付された納税通知書に記載された納付期限まで
  • 自動車税、軽自動車税・・・5月末日まで

まとめ

法人の支払いは税金の他に、社会保険料などの支払いもあります。
税金の計算や申請手続等は煩雑なことが多いため労力や時間が掛かります。専門の方に税務相談をしてみてはいかがでしょうか。

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「廃業」の手続きについて Vol.076

前回は、会社の事業を停止する場合の「休業の手続き」について簡単に説明しました。今回は、「廃業の手続き」について簡単に説明します。

廃業の手続きについて

会社を廃業するには、個人事業主が廃業する時とは違い、法律に従って「会社の解散」「清算手続き」「清算結了」の流れがあり、そのためにはさまざまな手続きがあります。
会社を「廃業」するまでの大まかな流れを下記で説明していきます。

※個人事業が廃業する時には「個人事業主を廃業する時の手続き Vol.062」をご覧下さい。

廃業の手続きの流れ

<事業を停止>

会社を廃業するときには、まず会社の営業を終了します。

<株主総会で解散決議>

株主総会で解散決議を行い、承認されて解散となります。
解散には特別決議が必要で、議決権の3分の2以上の賛成が必要になります。

<清算人の選任>

会社の財産を清算する必要があり、株主総会で清算人を同時に選任します。清算人には、基本的に社長が就任することが多いようです。

<解散・清算人選任登記>

法務局で「解散登記」と「清算人選任登記」を同時に行います。解散日から2週間以内にします。

<解散の届出>

解散登記が完了したら、管轄の税務署及び都道府県税事務所、市区町村役場に解散届を出します。
建設業など、許認可庁に許可を受けている場合は、許認可庁にも解散届を出します。

<社会保険関係の手続き>

従業員を解雇する場合には、管轄の年金事務所で社会保険や雇用保険の手続きを行います

<解散公告>

会社解散後に「解散公告」を掲載する必要があります。
解散公告は会社の債権者に申し出てもらうため、公告期間は2カ月以上設けます。

<解散確定申告>

事業年度開始日から解散日までの確定申告を行います。解散日から2か月以内に行います。解散日から廃業が完了するまでの間は、1年ごとに確定申告が必要です。

<債権回収、債務の整理>

会社の債権を回収し、会社の債務を返済します。資産と負債を整理します。

<残余財産の確定・分配>

会社の財産を整理し、残った財産を確定します。残った財産は株主に分配します。

<決算報告書の承認>

決算報告書を作成し、株主総会の承認を受けます。

<清算確定申告>

残余財産確定日から1か月以内に、残余財産確定事業年度の確定申告を行います。

<清算結了の登記>

法務局で、決算報告書承認後2週間以内に「清算結了登記」を行う必要があります。
支店の登記がある場合には、支店所在地の法務局でも「清算結了登記」を行います。 「清算結了登記」が完了すると、登記記録が閉鎖されます。

<清算結了届>

税務署及び自治体で、清算結了の届出を行う必要があります。

以上の流れで「解散」「清算」まで完了すると、法律上の会社の「廃業」となります。

まとめ

「廃業」を選択した場合は、解散や清算手続きをするための費用がかかりますが、固定資産税や法人にかかる税金が発生しなくなります。無理に経営を続けるよりは、資産を残せる可能性もあります。
メリットとデメリットを考慮し「休業」「廃業」どちらを選ぶべきか考慮してみて下さい。

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